年次有給休暇(有休)はしっかり取得できていますか?ある人やある部署は全消化できているけれども、全く取れていない人もいる。このような話は珍しくないのではないでしょうか。10月は厚生労働省が定める「年次有給休暇取得促進期間」です。この期間中は普段以上に、企業や労働者が有休取得を促進する取り組みを積極的に行うことが求められています。
年次有給休暇取得の現状
日本では、有給休暇の取得率が依然として低い状況が続いています。詳しいデータは下記リンク先をご参照ください。
(4) 年次有給休暇
令和4年の1年間に企業が付与した年次有給休暇日数(繰越日数を除く。)をみると、労働者1人平均は17.6日(令和4年調査 17.6日)、このうち労働者が取得した日数は10.9日(同 10.3日)で、取得率は62.1%(同 58.3%)となっており、昭和59年以降過去最高となっている。
取得率を産業別にみると、「複合サービス事業」が74.8%と最も高く、「宿泊業,飲食サービス業」が49.1%と最も低くなっている。
※厚生労働省「令和5年就労条件総合調査の概況 」 6ページ
上記の通り昨年の取得率は62.1%となっており、以前は40%台だった頃に比べ取得率は高くなっています。しかし完全消化ができる100%へはまだ開きがあり、達成するにはさまざまな手を打つ必要があると考えられます。
できることなら有給休暇をもっと利用したい、でも現実には取得しづらいと感じている方も多いようです。有給休暇を取得できなければ、心身の健康を維持するために必要な休息が不足し、労働者のパフォーマンスや満足度にも影響を及ぼす可能性があるため、事業主の方で有効な対応策を検討することが重要です。
法令に基づく企業の義務
働き方改革の一環として2019年4月から施行された改正労働基準法により、使用者には年次有給休暇を労働者が確実に取得できるようにする義務があります。年間10日以上の有給休暇が付与される労働者に対して、最低でも5日間の有休を取得させることが義務化されました。この期間に、未取得の有給休暇がないか確認する運用はできていますでしょうか。勤怠システムを導入している場合は自動反映してくれますが、この場合も設定そのものが正しいという前提となります。
各人が自由に有給休暇を取得されてしまうと、人員計画に支障があるので有給休暇取得が進まない職場であれば、計画的付与の制度を活用する。1日単位での取得が難しい場合は半日でも使いやすくする。といったように、職場の特徴に応じた対応を検討しましょう。
有給休暇の計画的取得のメリット
有給休暇を取得できる職場になるとどのような効果があるでしょうか。
- 心身ともにリフレッシュできるのでモチベーションが高まる
- 労災やメンタル疾患で長期離脱者がでないことで、安定した人員に基づく経営ができる
- 有給休暇取得時にプライベートの予定を入れる事で、ワークライフバランスの実現につながる
- 有給休暇取得促進に力を入れていることで、労働者にとって働きやすい環境となり採用面や長期勤続面でプラス
計画的に取得することで、働き方の見直しや仕事の効率化にもつながります。また、休暇を取ることでリフレッシュし、仕事に対するモチベーションを高めることもできます。企業としても、労働者が健康で働き続けられる環境を整えることが重要です。
有休取得の推進に向けて
10月の「年次有給休暇取得促進期間」をきっかけに、職場全体で有休取得を見直し、計画的に休暇を取得できるように促していきましょう。有休の取得は労働者への権利として認められており、年5日の取得義務に違反すると罰則も科されてしまいます。そうであれば、積極的に活用の上労働者に気持ちよく働いてもらえる環境を作る方が、労使双方にとって望ましい取り組みと言えるのではないでしょうか。働きやすい職場作りは企業の健全な成長にも寄与します。職場での有休取得を積極的に推進することで、働きやすい環境を作り出していきましょう!