令和6年6月末の特定技能制度運用状況が公開されました

法務省出入国在留管理庁は、令和6年6月末時点の特定技能制度運用状況を公開しました。特定技能制度は、深刻な人手不足が続く日本の特定産業分野において、外国人労働者を受け入れるために2019年4月より始まった制度です。今回公表されたデータは、特定技能での外国人受け入れ状況や、各分野ごとの雇用動向を詳細にまとめています。

特定技能制度とは?

特定技能制度は、特定技能1号特定技能2号という2つの在留資格に基づき運用されている制度です。特定技能1号は、人材不足を補うための制度として、外国人労働者は最長5年間の滞在が可能です。技能実習を経て特定技能の在留資格を持ち滞在する人もいます。

一方、特定技能2号は、熟練した技能を持つ労働者が対象で、家族の帯同が許可される点や、在留期間の更新が可能である点が特徴です。更新を繰り返すことによりずっと日本で生活ができる選択肢ができたことは、制度制定時に大きなインパクトを与えました。

特定技能在留外国人数の推移(平成31年4月~令和6年6月末現在)(速報値)

令和6年6月末時点のデータによると、「上陸時に「特定技能」の許可を受けて在留する者」は90,804人、在留資格変更許可等を受け「特定技能」で在留する者が160,943人となっています。ここから他の資格から変更し、「特定技能」の在留資格を持つ方の方が多いことがわかります。そして、合計人数は251,747人と令和4年以降急激に増加をしていることがデータからわかります。

特定技能2号に関しては、まだ導入初期段階であり、在留者数は少ないものの、今後、熟練技能を持つ外国人労働者の受け入れが進むことが期待されています。

国別の受け入れ状況

国別の受け入れ状況では、ベトナムが最も多く、全体の50.4%を占めています。次いでインドネシア、フィリピン、ミャンマーと続き、アジア諸国からの労働者が大多数を占めていることが確認されています。

以前は外国人労働者といえば中国という時代もありましたが、現在はベトナムが一番多いです。ただ、昨年からベトナムは割合が減る中で、インドネシアとミャンマーは増加、フィリピンは横ばいです。

人口規模を考えると、恐らく今後さらにインドネシアの受入れが進むと考えられます。ただ、その後は中国やベトナムと同じく減少傾向になっていくでしょう。ミャンマーについては国内の情勢から今後人数が増えていくかどうかは不透明です。

分野別特定技能在留外国人数の推移

受け入れ人数が多い仕事は、「飲食料品製造業」、「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業」、「介護」、「建設」の順番に多いです。「飲食料品製造業」、「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業」は昨年に比べ若干割合が減る中、「介護」、「建設」は逆に少し割合が増えています。「介護」、「建設」は人手不足が顕著な業種ですので、この差は来年もっと縮まっている可能性がありそうです。

都道府県別特定技能在留外国人数の推移

トップから愛知県、大阪府、埼玉県が多いです。技能実習生が一番多いのが愛知県ですので、特定技能も同様にトップは愛知県となっています。その次に、千葉県、東京都、神奈川県と比較的都心に集中していることもデータからうかがえます。

まとめ

2019年4月に人手不足対策として新たにできた在留資格「特定技能」ですが、その後コロナ禍となり制度として機能していない時期が続きました。その後入国再開が始まり順調に、そして急激に受け入れ人数が増えてきた印象があります。その背景にはもちろん日本の労働力人口減少による、人手不足の問題があるからです。そして、この状況はさらに進むことは人口動態上明らかです。

受け入れをしている人たちの母国が今後発展し、また他の先進国も同様に人手不足で外国人労働者を受け入れる中、日本に行きたい、滞在したいと思ってもらえるようにしなければ、日本人の生活はどんどん大変になっていきます。今この時も私達の知らないところで、彼等が頑張って仕事をしてくれているので、日本はまだ世界的に高い水準での豊かな生活を送れているわけです。

特定技能で外国人を受入れをするに当たっては、採用においての魅力的な条件を整えるのはもちろん、長く働きたいと思える環境づくりも非常に重要です。これは一緒に働く日本人採用においても有用ですので、今後職場環境の整備は経営課題としての優先順位が高まると考えられます。

詳細なデータについては、以下のリンクをご確認ください。

【出入国在留管理庁:特定技能在留外国人数の公表等

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