日本では、育児や介護と仕事を両立させるための働き方改革が進んでいます。少子高齢化に歯止めをかけるためには、出生率を上げていく必要があり子育てしやすい環境づくりが必要です。また、介護により離職する人が出てしまうのは社会的に損失であり、また一度離職すると再就職は簡単ではありませんから、労働者としても非常に大きな問題です。
このような環境の中で、離職せずとも働ける環境づくりが求められており、多くの企業が従業員のワークライフバランスを向上させる方法として注目、採用をしているのがテレワークです。今回は、企業が従業員のためにテレワーク環境を整える際に利用できる「育児・介護との両立のためのテレワーク導入促進助成金」についてご紹介します。
助成金の目的と背景
「育児・介護との両立のためのテレワーク導入促進助成金」は、今年度から設けられた新しい助成金です。育児や介護の事情により職場に通うことが難しい従業員に対し、テレワークで働ける環境を構築する企業に向けた助成金です。職場に必ず出勤しなければならないと、育児や介護の負担が大きくなり、従業員が働き続けられず離職するリスクが高まるため、企業にとっても働き手を失わずに生産性を維持する手段として重要です。
助成金の概要
この助成金の対象となるのは、「3歳未満の子供の育児又は介護を行う労働者のための、テレワーク環境整備に係る取組について助成されます。具体的には下記の対応が必要です。
1.テレワークに関する規程の整備
・育児や介護を行う労働者のための柔軟な働き方に関する研修を受講
・テレワーク制度(テレワーク規程)を新たに整備し、社内に周知
2.テレワーク機器等の整備
・テレワークに必要な機器等を整備し、社内に周知
既にテレワークに関する規程がある場合は申請はできません。また、規定の整備だけでも助成金の受給はできません。
助成金限度額・助成率
助成金の内訳は下記の通りです。
助成事業 | 事業者の規模 | 助成金 | 助成率 |
テレワークに関する規程の整備 | 常時雇用する労働者の数が2人以上300人以下 | 定額20万円 | ー |
テレワーク機器等の整備 | 常時雇用する労働者の数が2人以上29人以下 | 上限30万円 | 3分の2 |
テレワーク機器等の整備 | 常時雇用する労働者の数が30人以上300人以下 | 上限30万円 | 2分の1 |
申請期間
申請受付期間は、令和6年6月3日(月)~令和7年2月28日(金)となっております。想定以上の申込があった場合は受付が期間内でも終了になる可能性もありますので、ご関心がありましたら早めの対応をお勧めいたします。
まとめ
東京都に事業所がある会社限定とはなりますが、この助成金制度を利用することで、育児や介護のために働き方を変えたいと考えている従業員が、より柔軟に仕事を続けることが可能になりますし、採用においてもこの助成金にかかわる制度があることをアピールすれば、プラスの面があるのは間違いありません。ぜひ積極的に活用し、企業と従業員の双方がより良い働き方を実現できる環境を築いていきましょう。