割増賃金は労働基準法に基づき、法定労働時間を超える労働や休日労働、深夜労働に対して支払われる賃金です。特に、残業や深夜勤務が発生する会社の場合、まずきちんと労働時間管理を行う必要があり、その時間に基づき適正に割増賃金を支払わなければなりません。
しかし、この割増賃金の計算において、「基礎となる賃金」とは何を指すのでしょうか?意外と知っているようで知らない内容かもしれません。今回は、割増賃金の基礎となる賃金について詳しく見ていきましょう。
割増賃金の基礎となる賃金とは?
割増賃金の計算において「割増賃金の基礎となる賃金」から除外できるものは決まっています。具体的には下記の通りです。
- 「割増賃金の基礎となる賃金※」から除外できるもの
- 家族手当
- 通勤手当
- 別居手当
- 子女教育手当
- 住宅手当
- 臨時に支払われた賃金
- 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金
上記に基づき、割増賃金を計算する際に基礎賃金に含むのか、含まないかを考える必要があります。これらは法律で明確に規定されています(限定列挙)ので、該当しないものはすべて割増賃金の計算基礎に算入しなければなりません。
さらに支給要件の確認も必要
上記で家族手当や通勤手当等は割増賃金の基礎から除外できると説明しましたが、支給要件によっては除外できないことには注意が必要です。
- 除外できないケース
- 家族手当:扶養家族の有無や人数に関係なく一律に支給している
- 通勤手当:費用や距離に関係なく支給している
- 住宅手当:賃貸は〇万円、持家は〇万円のように、一律に支給している
このような支給要件の場合は割増賃金の基礎として扱う必要があります。
給与計算システム設定の見直しも
もし割増賃金計算基礎の考え方が異なっていた場合、給与計算システムの設定を変更する必要があるかもしれませんので、その点もあわせて確認が必要です。正しい給与計算を行うためにも現状を見直すとともに、手当は一般的に縮小傾向ですので、賃金制度の見直しの機会とするのもよいのではないでしょうか。